2024.09.12

ロレックスで使用される夜光塗料の種類は?きれいに光らないときの原因と対処法も紹介

ロレックスで使用される夜光塗料の種類
ロレックスの「エクスプローラー」や「サブマリーナ」などのモデルは、針やインデックスに夜光塗料が塗られています。その名の通り、夜光塗料とは暗闇で明るく発光する塗料のことで、暗所での視認性を確保するためには欠かせません。本記事では、ロレックスで使用される夜光塗料の種類とそれぞれの特徴、うまく光らないときの原因や対処法について紹介します。

腕時計に使用される夜光塗料とは?

腕時計に使用される夜光塗料とは、暗所でも時刻を読み取りやすくするために針やインデックスに塗布される塗料のことで、大きく分けて「自発光塗料」「蓄光塗料」の2種類に分類されます。「自発光塗料」は塗料自体が光を放っており、明るい場所でもわずかに発光しています。一方、「蓄光塗料」は日中などに周囲の光を吸収しておき、暗所でその吸収しておいた光を放出するというものです。

夜光塗料が塗られている理由

夜光塗料が腕時計に塗られ始めたのは1910年代ごろだとされていますが、当時は街灯が今ほど整っておらず照明のクオリティも高くなかったため、日が暮れてしまうと腕時計で時間を読み取るのが困難でした。そこで、腕時計メーカーは長短針とインデックスに夜光塗料を塗ることで視認性をアップしようとしました。特に軍隊では昼夜を問わずミッションを遂行する必要があったため、暗闇でも時間を確認できる機能が早急に求められていたようです。

夜光塗料が発光する仕組み

夜光塗料が発光する仕組みは塗料の種類によって異なります。ラジウムやトリチウムなどが使用された「自発光塗料」は放射性物質が自然に発光する性質を利用しており、放射性物質から放出されるβ線が塗料に含まれる蛍光物質を刺激して発光する仕組みとなっています。

一方、「蓄光塗料」は光エネルギーを吸収して蓄えておき、それを暗所で放出するものです。光を吸収することで内部の電子が励起状態となり、暗所で基底状態に戻る際に光を放つことで蓄光塗料は光を蓄えた分だけ発光し続けることができます。

ロレックスで使用されている夜光塗料の種類とその歴史を紹介

ロレックスで使用されている夜光塗料

ロレックスはその長い歴史の中でそれぞれの時代に応じた最適な夜光塗料を選び、安全性や視認性を追求してきました。ここでは、ロレックスで使用されている夜光塗料の種類とその歴史について紹介します。

ラジウム:ロレックスで初めて採用された夜光塗料で、1960年代初めまで使用

ラジウムはロレックスが初めて採用した夜光塗料で、1920年代から1960年代初めまで使用されていました。この塗料は放射性物質であるラジウムを含んでおり、自ら発光するという特性があります。ラジウムは暗所での視認性を大幅に向上させましたが、放射線による健康リスクが問題視されるようになり、1960年代初めには使用が中止されました。ラジウムの使用中止は、IAEA(国際原子力機関)による規制が一因となったとも言われています。

現在、このラジウムを含む夜光塗料を使用したヴィンテージモデルは希少価値が高く、コレクターからの人気も高い個体となっています。

トリチウム:1960年代~1990年代で使用され、劣化によりクリーム色に変わる

トリチウムは1960年代から1990年代までロレックスで使用されていた夜光塗料です。ラジウムと同じく放射性物質であるトリチウムも自ら光を放つことができるものの、トリチウムの半減期は約12年と短く、経年劣化により発光力が低下してクリーム色に変色する個体もあったようです。

このトリチウムも放射線の影響が懸念されたため、次第に蓄光塗料であるスーパールミノバに置き換えられていきました。

スーパールミノバ:1998年ごろから採用され、緑色に発光する

スーパールミノバは、1998年ごろからロレックスで採用され始めた蓄光タイプの夜光塗料です。日本の化学メーカー「根本特殊化学株式会社」が開発したこの塗料は、放射性物質を含まず、従来の約10倍の明るさと発光時間を持つ画期的なものでした。緑色に発光するスーパールミノバは熱や水に強く、半永久的に使用できる安定性と耐久性を持っています。この塗料の採用により、ロレックスの夜光機能は安全性と実用性の両面で大きく向上しました。

クロマライト:2007年から採用された青色に発光する塗料で、発光時間が長い

ロレックスが2007年に独自開発したクロマライトは、スーパールミノバと比較して約2倍の発光時間を誇り、青白い光を放つという特徴があります。2007年頃から「オイスターパーペチュアル」「ミルガウス」に採用され始め、2008年発表の「ディープシー」で広く知られるようになりました。

特にクロマライトは、暗所で長時間の視認性が求められるダイバーズウォッチのようなモデルで優れた性能を発揮します。この塗料の開発は、ロレックスの技術革新へのこだわりと技術力の高さを象徴するものといえるでしょう。

ロレックスの夜光塗料の種類を見分ける方法は?

ロレックスの夜光塗料の種類を見分ける方法

ロレックスの夜光塗料の種類は、その時計の製造年や表示によって見分けることができます。主な夜光塗料の見分け方について以下で紹介します。

  • ラジウム:ラジウムを含んだ夜光塗料は放射線を放出するため、ガイガーカウンターを使用すると放射線を検知することができます。
  • トリチウム:「T SWISS MADE T」「SWISS-T<25」などの表記で識別できます。トリチウムも放射性物質であるものの、腕時計に使用されている量は非常に少量です。経年劣化によりクリーム色に変わるという特徴があるため、色の変化によっても見分けることができるでしょう。
  • スーパールミノバ:緑色にきれいに発光するため、光り方を見れば簡単に見分けることができるでしょう。また、この塗料が使用されている個体は「SWISS MADE」「SWISS」などと表記されることが多いようです。
  • クロマライト:この塗料を使用している個体は一般的に「SWISS MADE」の表記がありますが、青色に発光していればクロマライトだと識別できます。
  • ロレックスの夜光塗料が光らないときの原因と対処法

    夜光塗料が光らない原因は、使用されている塗料の種類や時計のコンディションによって異なります。ここでは、ロレックスの夜光塗料が光らないときの原因と対処法について解説します。

    ラジウム・トリチウム:経年劣化により自然発光が弱まっている可能性も

    ラジウムとトリチウムを含む夜光塗料は、いずれも放射性物質が発光する仕組みを利用した自発光塗料です。ラジウムとトリチウムはともに長期間使用されていると光が弱まってしまうため、これらの塗料が光らない際は経年劣化が原因である可能性が高いでしょう。

    対処法としては専門の時計修理店で夜光塗料の再塗布を依頼するのが理想的です。ただし、トリチウムやラジウムは放射性物質であり、再塗布には特別な許可が必要であるため、現在は放射性物質を含まないスーパールミノバやクロマライトで代用されるのが一般的となっています。

    スーパールミノバ・クロマライト:光が十分に蓄えられていない可能性が高い

    スーパールミノバやクロマライトは光を吸収して蓄え、その光を暗所で放出する蓄光塗料です。これらの塗料がきれいに光らないときは、光の蓄積が十分でない場合がほとんどでしょう。特に、光に当たらずに長期間保管されていた場合や購入してすぐの場合は、発光できるほどの光が蓄えられていない可能性があります。

    腕時計を明るい場所に置いて十分な光を当てることで対処できますが、直射日光は避けるようにしましょう。蛍光灯の光でも十分効果はありますが、太陽光に比べて時間がかかってしまう場合があります。

    ロレックスで夜光塗料が使用されているモデルを紹介

    さまざまなシーンで高い視認性を確保するため、ロレックスの腕時計には優れた夜光塗料が使用されています。ここでは、ロレックスで夜光塗料が使用されている代表的なモデルを紹介します。

    ロレックス エクスプローラーⅠ

    ロレックス エクスプローラーⅠ

    「エクスプローラーⅠ」は、シンプルでありながら堅牢性のあるデザインが特徴のモデルです。過酷な環境下でも高い視認性を誇ることから、数多くの冒険家や登山家に愛用されてきました。「エクスプローラーⅠ」にはスーパールミノバが採用されており、緑色に発光するため、暗所でも容易に時刻を確認することができます。経年劣化が少なく、長期間にわたって安定した発光性能を維持できるのが魅力です。

    ロレックス サブマリーナ

    ロレックス サブマリーナ

    「サブマリーナ」はダイバーズウォッチの代名詞ともいえるモデルで、300メートルの防水性能があり深海でも高い耐久性を誇ります。「サブマリーナ」にはスーパールミノバクロマライトが使用されているため、暗所での視認性が高く、水中でもしっかりと時間を確認できます。

    ロレックス シードゥエラー ディープシー

    ロレックス シードゥエラー ディープシー

    「シードゥエラー ディープシー」は「サブマリーナ」よりもさらに深い水深に対応したダイバーズウォッチ。最大3,900メートルの防水性能を備え、プロのダイバーによる本格的な使用にも耐えられるほどのクオリティです。「ディープシー」にはクロマライトが使用されており、青色の光が長時間にわたり発光するため、深海の暗闇でも視認性が確保されています。

    ロレックス ミルガウス

    ロレックス ミルガウス

    「ミルガウス」は磁気の強い環境で働く科学者やエンジニアに向けて設計されたモデルで、高い耐磁性が大きな特徴です。このモデルにはクロマライトが採用されており、実験室や工場などの暗い環境でも青色に発光してくれるため、容易に時間を把握することが可能です。

    ロレックスで夜光塗料の塗り直しや修理は可能?

    ロレックスで夜光塗料の塗り直しや修理は可能?

    ロレックスの夜光塗料が光らなくなった場合、塗り直しや修理が可能かどうか気になる方も多いかもしれません。

    結論から言うと、夜光塗料の塗り直しや修理は可能です。基本的には夜光部分の修理は「文字盤交換」という形で対応してくれますが、「6時のインデックス部分だけを塗り直してほしい」といった部分的な塗り直しには対応できない可能性が高いでしょう。夜光塗料の塗り直しや修理を行う場合、以下のような注意点があります。

  • メーカーによる修理が基本
  • 文字盤や針の交換にはメーカーが用意する純正の替えパーツが必要となるため、基本的にはメーカーに修理を依頼することになります。

  • 高額な修理代金
  • 文字盤の交換費用は高額になりやすい傾向があります。

  • オリジナリティの喪失
  • 特にヴィンテージモデルの場合、文字盤交換によってオリジナルの状態が失われ、価値が下がってしまう可能性もあります。

  • パーツの入手が困難
  • 古いモデルの場合、交換用パーツがすでに製造終了しているケースも少なくありません。

  • 夜光塗料の種類の変更
  • 例えば、トリチウムを含んだ夜光塗料を使用した個体を修理する際、スーパールミノバを使用したパーツしか用意できない場合があります。つまり、文字盤にはトリチウムが使用される一方で、針にはスーパールミノバが使用されるという統一感のない組み合わせになってしまうかもしれません。

    夜光塗料の塗り直しや修理を検討する際は、まず信頼できる時計専門店や正規販売店に相談することをおすすめします。特にヴィンテージモデルやアンティークモデルの場合は、修理によって価値が変わる可能性があるため、慎重に判断するようにしましょう。

    ロレックスの夜光塗料が光らないときは、まず塗料の種類を確認

    本記事では、ロレックスの夜光塗料の種類や特徴、光らなくなった際の原因と対処法について紹介しました。ロレックスの夜光塗料にはラジウム・トリチウム・スーパールミノバ・クロマライトがこれまで使用されてきており、時代に合わせて進化してきました。夜光塗料が光らなくなった場合には、まず夜光塗料の種類を確認することが大切です。比較的新しい蓄光タイプのスーパールミノバやクロマライトであれば、十分な光を当てることで回復する可能性もありますが、解決しない場合には正規販売店や信頼できる時計修理専門店に相談してみるのが良いでしょう。

    中古ブランドショップのALLU(アリュー)ではロレックスの人気モデルを豊富に取り扱っているため、本記事で紹介した夜光塗料が使用されたモデルにも出会えるかもしれません。オンラインショップで気になった商品を実店舗に取り寄せて、コンディションを確かめてから購入することもできるため、ロレックスをお探しの場合はぜひALLUを利用してみてください。

    `
    SHARE
    Twitter

    Features

    Birkin,Kelly,Picotin etc.

    Rolex,Cartier,Hermes etc.

    VUITTON,HERMES,CHANEL etc.