エルメスの魅力は「どのアイテムも1つの作品として捉えることのできる、プロダクトとしての圧倒的な完成度」にあると言う。決して価格は安くないものの、常に顧客の期待を裏切らないデザインや技術と職人の思いが込められたアイテムが長年愛されてきたことは誰もが知るところだ。モデルによっては廃盤になって、現在、正規店では手に入らないヴィンテージアイテムも少なくない。

　では、実際にジャンルを問わず多くのアイテムに触れて来たALLUのバイヤーにとって「エルメス」はどう映っているのか。「長年にわたって愛用されてきたアイテムであっても、輝きが失われることはありません。特にバッグは、1点1点職人が丁寧に作りあげているため、顧客に長く愛用したいという気持ちが自然に芽生えて、長い時間を掛けて購入を検討されることが多く、価格も下がりにくいんです。それに、“バーキン”や“ケリー”を筆頭にそれぞれの商品を何十年も愛用することで、個性が生まれ世代を超えて受け継がれていきます」。

　プロダクトとしての品質はいわずもがな、二次流通での需要が常に高くあり続ける理由は「過去に手に入れた名品が自宅のクローゼットに眠っていることもあると思います。その名品を新たに手にする人によって、またさまざまな物語を紡いでいくように人生を彩るアイテムとなること」だという。

　ちなみに、今年2月にオープンしたALLU表参道店のB1にある「エルメス」専用フロア「エルメス ヴィンテージコレクション」では、取り扱うジャンルの広さとアイテムの豊富さに驚かされる。それは「フロア全体で“名品との出合い”を演出するように商品展開や在庫数をコントロールしている」からだ。これまでの顧客とのやりとりで記憶に残っているエピソードがあるという。「ふらっと店舗に立ち寄ったお客様が新作の“ケリー”の購入に悩んでいるようでした。店舗買取を行っているので『エルメスのバッグをお持ちではないですか？』という何気ない話をすると、自宅のクローゼットに眠っているボックスカーフの“ケリー”を思い出したようでした。後日、思い入れのあるという1998年製“ケリー”を買取し、お客様は来店時に悩んでいた新作の“ケリー”をご購入されました。

　2か月後、その1998年製の“ケリー”は息子さんの大切な行事用のバッグを探していた方に受け継がれたのですが、すべてのアイテムがどのような経緯で店頭に並んでいるかを知っているので、子どもが巣立っていくような感覚を覚えました。それまでの持ち主から新たな持ち主の手にわたるまでのストーリーを知り、見守ることができる特別な場所なのだと肌で感じた経験です」。

　ALLUのミッションでもある環境負荷軽減に対して「エルメス」のアイテムは、どんな位置づけなのだろうか。「『エルメス』は二次流通でも高価格というイメージがありますが、ALLUのお客様で言えば資産価値だけを理由に購入する方はむしろ少なく、実際に身につけることを目的とする方が圧倒的に多い」という。新しく手に入れたアイテムを大切に長く愛用したいという、ファッション本来の楽しみであり最もサステナブルな考え方。ALLUにとって「エルメス」のアイテムはその考え方を裏付ける存在の1つでもある。リユース業界にさらに注目が高まる一方で、二次流通への抵抗感を持つ人もいるが、ALLUは「物を、物語に。」というメッセージをさまざまな角度から発信していくのだろう。

　2022年2月にオープンしたALLU 表参道店のB1は「エルメス ヴィンテージ コレクション」フロアとなっている。中でもバーキンやケリーといったアイコニックなモデルを筆頭に、世代を超えて愛され続けるエルメスのコレクションを多数取りそろえており、エルメスに特化したフロアとしてはALLUの中でも最大級の規模を誇る。定番から珍しいモデルのバッグはもちろん、スカーフなどの小物類、テーブルウェアやファニチャーも充実。各アイテムのバリエーションを多く集めて、常時顧客に良質なプロダクトを提供することを心掛けている。さらに顧客ニーズが高いプロダクトに関しては外部からの買い付けも実施することで、定番以外に希少なカラーリングのコレクションも多数そろえている。表参道店に限らずALLUでは豊富に「エルメス」のアイテムをラインアップしている。

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